腰椎ヘルニア摘出手術を受けた際,手術ミスにより馬尾神経を損傷,両下肢不全麻痺・知覚障害,膀胱直腸機能障害の後遺症を負った事例
腰椎ヘルニア摘出手術を受けた際,手術ミスにより馬尾神経を損傷,両下肢不全麻痺・知覚障害,膀胱直腸機能障害の後遺症を負った事例
新潟地裁 平成20年2月28日判決
事件番号 平成18年(ワ)第167号
本件は,被告病院において腰椎ヘルニア摘出手術を受けた患者が,医師の手術ミスにより馬尾神経を損傷されたため,合計6回の手術と574日間の入院を余儀なくされ,両下肢不全麻痺・知覚障害,膀胱直腸機能障害の後遺症を負ったとして,被告に対し,不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,硬膜管損傷が生じている状態の下でヘルニアの摘出を行う場合には,神経を傷つけないように愛護的に処理し,神経が硬膜管外に出るのを防ぎ,また出てしまった際には神経の損傷を防ぎつつ硬膜管内にこれを戻すべき注意義務があるというべきであるところ,本件手術における硬膜管損傷が生じた後の医師の判断及び手技には,前記注意義務に反する過失があり,その結果として馬尾神経損傷が生じたと認め,逸失利益,後遺症慰謝料等相当額,また,原告の症状に鑑みると,通院治療は余命を全うするまで必要と認めるのが相当であるとして将来の治療費等,本件の本訴請求を理由のある限度で認容し,その余を棄却した。