腹腔鏡下胆嚢摘出術及びS状結腸部分切除術を受けた患者,手技上のミスにより縫合不全を起こしたと主張し損害賠償を求めた事例
腹腔鏡下胆嚢摘出術及びS状結腸部分切除術を受けた患者が,手技上のミスにより縫合不全を起こしたと主張して損害賠償を求めた事例
名古屋地裁 平成20年2月21日判決
事件番号 平成17年(ワ)第600号
本件は,被告病院において腹腔鏡下胆嚢摘出術及びS状結腸部分切除術を受けた患者が,本件手術の際の縫合における手技上のミスにより縫合不全を起こした,本件手術の術後管理を怠ったと主張して,債務不履行に基づき,また,患者が代表取締役を務める原告会社は,被告の債務不履行により患者が被った休業損害を立替払いしたと主張して,それぞれ損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,本件手術は縫合不全が発生しやすい大腸(S状結腸)を対象とするものであったこと,患者は喫煙者であり縫合不全の危険因子がないとはいえず,縫合手技以外の原因により縫合不全が発生した可能性が十分あること,担当医師による吻合の方法が不適切であったことを裏付ける具体的な事情や証拠はないことを考慮すると,患者に生じた縫合不全が医師の不適切な吻合操作によるものであると認めることはできないとした。よって,本件手術,原告ら主張の日における担当医師の処置・判断に過失があった旨の原告らの主張は,いずれも理由がないとして原告らの請求を棄却した。