救急搬送された病院において頭部CT検査を怠り,転院後くも膜下出血により死亡した事例
救急搬送された病院において頭部CT検査を怠り,転院後くも膜下出血により死亡した事例
那覇地裁沖縄支部 平成20年2月7日判決
事件番号 平成16年(ワ)第88号
本件は,被告病院に救急搬送された後に転院先の病院においてくも膜下出血により死亡した患者について,亡患者の相続人である原告らが,被告病院医師にはくも膜下出血の有無を確認するため頭部CT検査をするべき注意義務を怠った過失があり,これにより患者を死亡させたなどとして,被告に対し,不法行為責任(使用者責任)又は診療契約上の債務不履行責任に基づき,損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,被告病院医師には,亡患者に対し頭部CT検査をするべき義務を怠った過失があったとしたが,その過失と患者の死亡との間の相当因果関係は認められないとし,その過失を怠らなかった場合の患者の生存の相当程度の可能性や,医療水準にかなった医療の提供を受ける権利の侵害による損害賠償も認められないとして,原告らの請求を棄却した。