筋ジストロフィーの基礎疾患を有する女児が肺炎で入院中,気管内挿管を行わず呼吸状態を悪化させ低酸素性虚血性脳症の重篤な後遺障害が残った事例
筋ジストロフィーの基礎疾患を有する女児が肺炎で入院中,気管内挿管を行わず呼吸状態を悪化させ低酸素性虚血性脳症の重篤な後遺障害が残った事例
大阪地裁 平成26年4月23日判決
事件番号 平成23年(ワ)第14830号
本件は,筋ジストロフィーの基礎疾患を有する女児が肺炎に罹患して被告病院に入院中,呼吸状態を悪化させて低酸素性虚血性脳症の重篤な後遺障害を残したことにつき,被告病院医師に人工呼吸管理を開始すべきであったのにこれを怠った過失又は注意義務違反があると主張して,原告女児が父母を法定代理人として,被告に対し,不法行為又は診療契約上の債務不履行による損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,原告の人工呼吸管理を行うべき義務があったとする主張について,気管内挿管を行った場合に抜管できなくなる可能性があることや上記気管内挿管にみられる欠点を考慮すれば,原告主張の各時点において,被告病院医師に気管内挿管を行うべき義務があったとはいえないとして原告の請求を棄却した。