手掌多汗症に対する胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(ETS)を受けた後,重度の代償性発汗が発現した事例
東京地裁 平成23年11月24日判決
事件番号 平成21年(ワ)第5513号
本件は,Y1病院(紹介元の医療機関)において手掌多汗症の診察を受け,Y2病院(紹介先の医療機関)において手掌多汗症に対する両側の胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(ETS)を受けた後,重度の代償性発汗が発現した患者が,Y1病院及びY2病院の担当医師らに説明義務違反等の注意義務違反があったと主張して,これらの病院の設置者である被告らに対し,診療契約上の債務不履行又は不法行為(使用者責任)による損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,ETSの合併症として日常生活に支障を生ずるような多量の代償性発汗が起こり得ることは,ETSを受けるか否かを決定するに当たって重要な判断要素の一つであるところ,Y1病院及びY2病院の医師らの説明義務違反により患者の自己決定権が侵害されたとして,精神的苦痛に対する慰謝料相当額の支払を認めた。