膀胱癌治療のため入院中,担当医師が心不全を検査鑑別し適切な治療を施していれば患者の死亡を回避できたとして損害賠償を求めた事例
山形地裁 平成24年3月27日判決
事件番号 平成19年(ワ)第371号
本件は,膀胱癌に対する治療のため被告病院に入院し,その後死亡した患者について,担当医師が亡患者の心不全を検査鑑別し,これに対する適切な治療を施していれば,患者の死亡という結果を回避できた高度の蓋然性があるとして,相続人である原告が被告に対し,使用者責任又は債務不履行責任に基づき,損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,亡患者は,多臓器不全となり心不全を発症したものであり,その後の診療及び治療方針の決定において担当医師に何らかの過失があったとは認められないから,虚血性心疾患による心不全を発症したことを前提とする原告の請求は理由がないとして本件請求を棄却した。