血小板数が減少した白血病患者に、禁忌とされる肝生検を実施して死亡させたとして損害賠償を求めた事例
東京高裁 平成29年12月21日判決
事件番号 平成29年(ネ)第3233号
治療関連方急性骨髄性白血病の患者に対して、医師が患者に適応のない手術を実施し、適切な説明を怠ったため死亡に至ったと主張して、損害賠償請求金の支払いを求めた。原審が請求をいずれも棄却したため、これを不服として控訴した。
裁判所は、肝生検は血小板輸血をしながらであれば、絶対的な禁忌であったとはいえず、生命予後や生活の質の改善の観点から一定の治療上の利益があったものと認められ、説明に関しても、合併症、及び死亡の危険性に関する説明義務違反があったとはいえず、肝臓S6部の病変に対して、できるだけ早期にドレナージや肝生検を実施することが望ましかったといえることから、経過観察の選択肢について説明すべき義務があったとはいえないと
して原判決は相当であるとして、棄却する判断をした。