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入院中の患者に留置されていたカテーテルからの大量出血により死亡するに至った事例

鹿児島地裁 平成30年5月9日判決

事件番号 平成29年(ワ)第127号

 

 本件は,被告病院に入院中の患者(死亡当時83歳)が,右鼠径部に留置されていたフェモラールカテーテル(以下,単に「カテーテル」という。)からの大量出血により死亡するに至ったのは,被告病院の医師及び看護師に,①担当看護師がメスルアーキャップ(カテーテルから血液が流出しないように使用されるもの。以下,単に「キャップ」という。)を十分に締めなかった過失,②看護師や看護補助者が,当直医に対し,大量出血の事実を報告しなかった過失,③当直医が,直ちに救命措置としての輸血に着手しなかった過失があったと主張して,死亡した患者の相続人である原告が,被告に対し,主位的に不法行為に基づく損害賠償を求め,予備的に債務不履行に基づく損害賠償を求めた事案である。

 

 裁判所は,上記①について,担当看護師にはカテーテルの先端のキャップを十分に締めなかった過失があると認めたが,上記②について,看護師や看護補助者には当直医に対し大量出血の事実を報告しなかった過失があるということはできないとし,上記③については,当直医は輸血を行うことを検討したが,患者の容態が急変したため蘇生措置を行ったものの輸血の着手に至らないまま患者が死亡してしまったことが認められ,直ちに救命措置としての輸血に着手しなかった過失があるということはできないとした。

したがって,カテーテルの先端のキャップを十分に締めなかった看護師の過失と患者の死亡との間に因果関係があることは明らかであるところ,患者が既往症を有していたことなど,その他本件に現れた一切の事情を考慮し,死亡慰謝料等相当額を認容した。

なお,原告の主位的請求は,本件事故に係る不法行為に基づく損害賠償請求権については消滅時効が完成していることから理由がないとした。



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