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脳腫瘍部分切除術を受けた後に頻脈や高熱等の症状が現れ,約4か月後にくも膜下出血を起こして死亡するに至った事例

東京地裁 平成29年10月26日判決

事件番号 平成27年(ワ)第7000号

 

 本件は,被告病院において脳腫瘍部分切除術を受けた後に頻脈や高熱等の症状が現れ,それから約4か月後にくも膜下出血を起こして死亡するに至った患者(当時23歳)について,両親である原告らが,患者が死亡したのは被告病院の担当医が悪性高熱症の発症を見逃してこれに対する治療を怠ったためであり,適切な治療が行われれば亡患者は悪性高熱症から回復して死亡を回避できた,また,仮に亡患者が悪性高熱症ではなかったとしても,適切な治療を受ける期待権が侵害されたと主張して,被告に対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。

 

 裁判所は,亡患者が悪性高熱症を発症していたとは認められず,担当医が亡患者に対してダントロレンナトリウム(ダントロレン)を投与しなかったことが裁量を逸脱しているとまでは認められないとし,担当医らによる亡患者に対する医療行為が著しく不適切なものであったと認めるに足りないから,亡患者の適切な治療を受ける期待権を侵害したとの原告らの主張は採用できないとして,原告らの請求をいずれも棄却した。



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