患者が出産後に羊水塞栓症を原因とするDICの進行で死亡に至った事例
患者が出産後に羊水塞栓症を原因とするDICの進行で死亡に至った事例
東京地裁 平成28年7月21日判決
事件番号 平成24年(ワ)第33292号
本件は,被告病院において,患者が出産後に死亡したことについて,患者の相続人らが,担当医師らには,患者に対する①輸液,②輸血,③DICに対する治療,④頸管裂傷に対する処置などの点において注意義務違反ないし過失があり,これらの注意義務違反ないし過失により患者は死亡したなどと主張して,債務不履行または不法行為(使用者責任)に基づき損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,本件患者は,羊水塞栓症を原因とするDICの進行で死亡に至ったと認めるのが相当であり,仮に被告病院医師が原告らの主張するような措置を採っていたとしても,本件患者を救命することは極めて困難であった可能性が高いものと考えられるし,いずれにせよ被告病院医師には,上記①~④について注意義務違反ないし過失があるとまでは認められないとして,本件請求を棄却した。