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入院して治療,投薬を受けた患者,医師が血糖値の管理を怠り昏睡状態に陥り死亡した事例

入院して治療,投薬を受けた患者,医師が血糖値の管理を怠り昏睡状態に陥り死亡した事例

宮崎地裁 平成28年1月13日判決 事件番号 平成21年(ワ)第441号,平成21年(ワ)第760号

本件は,被告らの父である亡患者が,原告病院に入院して治療,投薬を受けたが,昏睡状態に陥って死亡したことについて,原告病院は,亡患者に係る医療費が未払であるとして,診療契約に基づき,亡患者の相続人である被告らに対して,支払を求めた(本訴)。これに対し,被告らは,原告病院医師が,亡患者の血糖値の管理を怠るなどして診療契約上の義務に違反し,亡患者を低血糖による意識障害に陥らせて死亡させたとして損害賠償を求めた(反訴)事案である。 裁判所は,原告病院医師には,亡患者の血糖値の低下が異常な進度であることを認識し,更なる血糖値の低下を予見し,引き続きその推移を観察するとともにその原因の分析に努め,必要がある場合には新たな投薬や指示を行う態勢を整える法的な注意義務を負っていたところ,その義務に違反して,亡患者の血糖値の継続的な管理を怠った過失があるとし,この過失と亡患者が急激な低血糖によって低血糖性昏睡に至り,遷延性意識障害を発症して死亡したこととの間に因果関係があるとした。 そして,原告の本訴請求は棄却し,被告らの反訴請求は,損害相当額を認容し,その余の反訴請求を棄却した。 尚,被告らの原告に対して有する債務不履行に基づく損害賠償債権を自働債権,原告の被告らに対する医療費支払請求権を受働債権として対当額で相殺する旨の意思表示によって,原告の医療費支払請求権は消滅した。



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