高齢でリウマチや糖尿病の持病を有する患者が死亡した事例
高齢でリウマチや糖尿病の持病を有する患者が死亡した事例
さいたま地裁 平成27年10月22日判決 事件番号 平成24年(ワ)第2975号
本件は,死亡した患者の相続人である原告らが,被告病院に診療契約上の債務不履行又は不法行為があり,これにより患者が死亡し,また,患者及び原告らに対する説明義務違反があったとして,被告に対し,損害賠償を求めた事案である。 裁判所は,医師がリウマトレックスの投与を継続する合理的な理由があるとはいえないとして注意義務違反を認め,その態様が決して軽微とはいえず,これがなかった場合の救命可能性の程度は著しく低いとまでは考えられないこと,患者は当時75歳で,平均余命が11年であるが,リウマチや糖尿病の持病を有し,過去に肺結核を患っていたこと,被告病院における診療経過中に腎臓の機能低下がみられ,基礎疾患のない人よりは余命が短かったと考えられることその他本件に現れた一切の事情に鑑みても,被告の義務違反により生存可能性が侵害されたものであり,その精神的苦痛に対する慰謝料相当額を認め,患者の死亡により慰謝料請求権を相続した原告らにこれを認めた。