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救急搬送された病院で敗血症を看過され,転院した病院で無呼吸テストを実施した患者が死亡した事例

救急搬送された病院で敗血症を看過され,その後転院した病院で無呼吸テストを実施した患者が死亡した事例

 

水戸地裁 平成27219日判決

事件番号 平成24年(ワ)第82

 

本件は,救急搬送された病院で医師が患者の敗血症を看過し,また,その後転院した病院の医師が患者らの承諾を得ることなく無呼吸テストを実施したため,患者が死亡したなどとして,患者の相続人らが,共同不法行為(使用者責任)又は債務不履行に基づき,損害賠償を求めた事案である。

 裁判所は,救急搬送時点において,医師が直ちに患者の敗血症発症を疑い,抗菌薬の投与や感染原因を除去するために必要な治療ないし転院等の措置を採っていれば,患者が救命された高度の蓋然性が認められるとして,医師の過失と患者の死亡との間には,相当因果関係が認められるとした上で,原告らのうち医師資格を有する患者の夫には,搬送された時点において患者の臨床症状等の詳細について自ら説明することが期待されていたというべきであるところ,そのような説明をしたとは認められない以上,過失があったものといわざるを得ないとして,その過失割合を4割とするのが相当であるとし,この割合に基づく過失相殺は,患者やその余の原告らについても適用されるものと解するのが相当であるとした。

また,転院した病院における本件無呼吸テスト(本件で行われた無呼吸テストは,自発呼吸の有無を確認するために人工呼吸を一定時間止めるもの)と患者の死亡との相当因果関係は認められないものの,その実施に際して,同病院医師が,当該医療行為に係る説明をする相手として最も適切な家族は,医師資格を有する患者の夫である原告であったと考えられ,その内容,利害得失等を説明し,その承諾を得てから行うべきであったにもかかわらず,これを怠ったのであるから,同病院医師は,患者の人格的利益を違法に侵害したものとして,不法行為責任を負うとした。

尚,被告病院両者の不法行為は,過失の態様及び被侵害利益を異にするゆえ関連共同するものとはいえず,共同不法行為は成立しないとした。

 



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