腰椎後方進入椎体間固定術及び腸骨移植術を受け,その後死亡したのは,選択すべきでない手術を施行した過失や説明義務違反があったとして損害賠償を求めた事例
腰椎後方進入椎体間固定術及び腸骨移植術を受け,その後死亡したのは,選択すべきでない手術を施行した過失や説明義務違反があったとして損害賠償を求めた事例
東京地裁 平成20年6月12日判決
事件番号 平成18年(ワ)第15698号
本件は,被告病院において,腰椎後方進入椎体間固定術及び腸骨移植術(以下「本件手術」という。)を受け,その後死亡した患者の相続人である原告らが,患者に対する治療として本件手術を選択すべきでないのに本件手術を施行した過失や,説明義務違反があると主張し,被告に対し,診療契約上の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,被告病院の医師らが,患者に対する治療方法として,本件手術を選択したことが過失に当たるとはいえないとし,担当医師は,本件手術に付随する危険性,予後について具体的な説明をしており,その中で,合併症が生じる可能性が透析をしていない患者に比べて高いことや,最悪の場合には不幸な転帰となる可能性などについても説明していたことなどから,本件手術について説明義務違反はなかったとし,原告らの請求はいずれも棄却された。