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内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査及び内視鏡的乳頭括約筋切開術の手術後,急性膵炎を発症,その後敗血症性ショックにより死亡した事例

内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査及び内視鏡的乳頭括約筋切開術の手術後,急性膵炎を発症し,その後敗血症性ショックにより死亡した事例

大阪地裁 平成25年4月26日判決
事件番号 平成22年(ワ)第16817号

 本件は,被告病院において内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)及び内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)の手術後,ERCP後急性膵炎を発症し,より症状の増悪を認めたことから高度な診療が可能な施設に転院したがその後も病状は改善せず,敗血症性ショックにより死亡した患者の治療について,患者の妻子である原告らが,被告病院に対し,被告病院の担当医師らが,急性膵炎の診療ガイドライン等に従って適切な輸液により循環血漿量を維持すべき義務及び高次医療施設に搬送すべき義務に違反したと主張し,不法行為(使用者責任)による損害賠償を求めた事案である。

 裁判所は,診療経過によれば,本件患者について,急性膵炎に続発する急性腎不全は,初期輸液量の不足による腎前性のものではなく,膵酵素等が腎機能を障害させたことに基づくGFR値の低下,急性膵炎により引き起こされる血管内脱水等による腎性のものである可能性もあるというべきであり,被告病院の担当医師らには,適切な輸液により循環血漿量を維持すべき義務の違反があったということはできず,また,本件患者の急性膵炎の重症度は,当初の血液検査の結果が判明した時点で,重症度スコア8点(重症Ⅰ)であることから,この時点で本件患者を高次医療施設に搬送すべき注意義務があるということはできないとして,原告らの請求をいずれも棄却した。



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