大動脈弁閉鎖不全症との診断を受け,2度の手術を含む入院治療を受けていた患者が死亡した事例
大動脈弁閉鎖不全症との診断を受け,2度の手術を含む入院治療を受けていた患者が死亡した事例
金沢地裁 平成20年3月31日
判決 事件番号 平成12年(ワ)第553号
本件は,被告病院において,大動脈弁閉鎖不全症との診断を受け,2度の手術を含む入院治療を受けていた患者が死亡したことにつき,患者の相続人である原告らが,被告病院の医師には,2度目の手術において癒着剥離を継続したことに過失があるなどと主張して,被告に対し,債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき,損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,亡患者は,大動脈弁置換術(第1手術)後,心タンポナーデを発症,心のう液の排出のため心のうドレナージ術(第2手術)を受けたが,被告には,この第2手術中に胸骨下部での癒着剥離を継続した点に過失があるとし,また,亡患者は,第2手術中の手技上のミスがなければ,その死亡の時点で生存していた高度の蓋然性があるというべきであり,上記過失と患者の死亡との間には相当因果関係が認められるとして,原告らの請求のうち,逸失利益,慰謝料等相当額を認容した。