総胆管結石の内科的及び外科的除去術を受けた患者が,結石の除去失敗により急性膵炎を発症し,さらに糖尿病及びうつ病に罹患した事例
那覇地裁 平成23年6月21日判決
事件番号 平成18年(ワ)第1358号
本件は,被告病院において総胆管結石の内科的及び外科的除去術を受けた患者が,これらの処置を担当した医師らの過失により,急性膵炎を発症し,さらに糖尿病及びうつ病に罹患したと主張して,被告病院に対し,医療契約の債務不履行に基づく損害賠償の一部請求として,賠償金の支払を求めた事案である。
裁判所は,担当医師には,本件外科手術における手技により総胆管内の結石を除去することができず,むしろ嵌頓させてしまった過失が認められ,この結石除去失敗と重症急性膵炎との間の因果関係を否定できないとし,そして慢性膵炎を経て膵性糖尿病の発病に至ったものであるから,被告の注意義務違反と患者の糖尿病との間に因果関係を認め,後遺障害慰謝料,逸失利益等相当額の支払を命じた。