約8年前に腹壁膿瘍掻爬術・不良肉芽切除術を受けた際,腹部にドレーンを遺残され,これに起因する痛みが継続した事例
大津地裁 平成23年2月25日判決
事件番号 平成21年(ワ)第1247号
本件は,約8年前に被告病院において腹壁膿瘍掻爬術・不良肉芽切除術(以下「本件手術」という。)を受けた際,腹部にドレーンを遺残された患者が,これにより損害を被ったと主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,患者の疼痛の症状について,本件ドレーンの除去手術を受けた後はこれがほぼなくなったというのであるから,上記の痛みは,本件ドレーンの遺残に起因するものとみることができるとしたものの,本件ドレーンの遺残に起因する痛みが本件手術後終始継続していた旨の主張は,これを認めるに足りないとしたが,本件に顕れた一切の事情を斟酌し,本件ドレーンの遺残という不法行為により患者が被った精神的苦痛に対する慰謝料相当額等を認容してその余を棄却した。