ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)及びEPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)を受け,施術後に十二指腸穿孔を起こすなどした事例
東京地裁 平成23年6月9日判決
事件番号 平成20年(ワ)第2708号
本件は,被告病院においてERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)及びEPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)を受けた原告が,①ERCP及びEPBDの適応はなかった,②担当医の過失により施術後に十二指腸穿孔を生じさせた,③ERCP及びEPBD後の緊急開腹手術において,後に縫合不全に陥るのを防止するための適切な措置を怠った,④説明義務違反があったなどと主張して,被告に対し,診療契約の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき,損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,上記①ないし③に関する原告の主張は採用できないとしたが,上記④に関して,被告病院医師らが具体的な危険性にわたる説明を行わなかったことは,説明義務違反に当たると認定した。しかし,この説明義務違反と結果との因果関係に関する原告の主張は採用できないとした。よって,原告の年齢等本件に現れた一切の事情を総合考慮し,本件請求のうち,上記説明義務の違反に基づく自己決定権の侵害による精神的苦痛に対する慰謝料相当額を認容し,その余の請求は棄却した。