重症新生児仮死の状態で出生,脳性麻痺等の後遺症が残った事例
名古屋地裁 平成26年9月5日判決
事件番号 平成23年(ワ)第5927号
本件は,被告の開設する病院(被告病院)において重症新生児仮死の状態で出生した原告X1に脳性麻痺等の後遺症が残ったことについて,原告X1並びにその両親である原告X2及び原告X3(原告らはすべて外国籍)が,①陣痛促進剤投与判断に係る注意義務違反,②陣痛促進剤投与量に係る注意義務違反,③分娩監視に係る注意義務違反及び④蘇生措置に係る注意義務違反を主張して,被告に対し,診療契約上の債務不履行による損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,陣痛促進剤を投与したことが不適切であったとはいえず,その投与量に係る注意義務違反があったとは認められないとしたものの,被告病院の助産師及び医師には分娩監視に係る注意義務違反が認められるから,被告は診療契約上の債務不履行に基づき,原告らに対し,上記注意義務違反と相当因果関係が認められる損害を賠償すべき責任を負うとして,原告X1に対して逸失利益(就労可能年数も日本人と同様の基準を用いるのが相当とした),後遺障害慰謝料等相当額の支払いを,原告X2及び原告X3に対して近親者固有の慰謝料相当額の支払いを命じた。