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髄膜腫摘出手術の術前処置として腫瘍栄養血管塞栓術を受けたところ,塞栓物質であるNBCAが内頚動脈及び眼動脈に流入して脳梗塞を発症し,後遺障害を負った事例

東京地裁 平成30年2月5日判決 事件番号 平成27年(ワ)第20174号  本件は,原告が被告の開設する病院(以下「被告病院」という。)において,髄膜腫摘出手術の術前処置として腫瘍栄養血管塞栓術(以下「本件塞栓術」という。)を受けたところ,塞栓物質であるNBCAが内頚動脈及び眼動脈に流入して脳梗塞を発症し,左眼失明及び右片麻痺等の後遺障害を負ったことについて,原告は,被告病院の医師には,①本件塞栓術において,固体塞栓物質ではなく液体塞栓物質であるNBCAを選択した注意義務違反ないし過失,②本件塞栓術に先立ち,塞栓物質としてNBCAを予定していること,本件塞栓術にNBCAを使用することのリスク及び本件塞栓術を行わない選択肢もあること等について説明しなかった注意義務違反ないし過失があるなどと主張して,被告に対し,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を求めた事案である。  裁判所は,上記①について,被告病院放射線科医師が,本件塞栓術において血管内投与禁忌とされているNBCAを用いたことは,同医師の合理的な裁量に基づくものであって,特段の合理的理由があるといえるから,本件塞栓術においてNBCAではなく,固体塞栓物質を用いなかったことが注意義務違反になるということはできず,同医師に,原告が主張するような注意義務違反ないし過失があるとはいえないとし,上記②について,被告病院脳神経外科医師は原告に対して,本件塞栓術の合併症として脳梗塞等があることを含め,本件塞栓術を実施した場合の利害得失及び実施しなかった場合の利害得失等が一通り説明されており,本件塞栓術で用いる塞栓物質がNBCAである旨の説明をすることが本件塞栓術を受けるか否かを決めるにあたって必須の要素になるとは必ずしもいえないことからすれば,NBCAに特化した説明をしていないことに法的な注意義務違反ないし過失があるとはいえないとして,原告の請求を棄却した。 

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