開頭脳動脈瘤クリッピング術を受けた患者,広範な脳梗塞を発症し,左上下肢麻痺・高次脳機能障害が残った事例
未破裂脳動脈瘤に対する開頭脳動脈瘤クリッピング術を受けた患者が,広範な脳梗塞を発症し,左上下肢麻痺・高次脳機能障害が残った事例
名古屋地裁 平成23年2月18日判決
事件番号 平成20年(ワ)第6331号
被告病院において,内頸動脈の未破裂脳動脈瘤に対する開頭脳動脈瘤クリッピング術を受けた患者が,術後,内頸動脈の狭窄(閉塞)を原因とする右中大動脈領域の広範な脳梗塞を発症し,左上下肢麻痺・高次脳機能障害が残ったことについて,被告病院医師には,①内頸動脈の血流確認義務違反,②麻痺判明後の検査義務違反,③説明義務違反の過失があったと主張し,不法行為又は債務不履行に基づき,9312万4616円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めた事案である。
裁判所は, 本件手術においては,クリッピング後に脳動脈瘤を完全に剥離して,クリッピングの状態を確認し,ドップラー血流計によって内頸動脈の状態を確認すべきであったにもかかわらず,被告病院医師は,いずれも実施していないのであるから,内頸動脈の血流を確認すべき注意義務に違反しているとして,5335万4556円及び遅延損害金の支払いを認めた。