入院患者の動静に注意を払わなかったため、飛び降り自殺を防げなかった件
入院患者の動静に注意を払わなかったため、飛び降り自殺を防げなかった件
横浜地裁 平成28年2月25日 判決
事件番号 平成25年(ワ)第4468号
鬱病と診断され、精神科病棟に医療保護入院していた患者が、病棟非常口ドアから屋上のテラスに出て、そこから飛び降り自殺した。
裁判所は、医師または看護師らが本件非常口ドア付近の入院患者の動静に注意を払い、非常口ドアを閉めた際は直ちに施錠することが自殺防止の観点から安全性の高い対応であるとはいえたとしても、このような対応を怠れば直ちに注意義務違反の過失責任が問われるべきものとまでは言えないとし、患者の鬱の症状は徐々に回復傾向にあり、切迫した自殺企図が認められる状態にはなかったとして、過失責任を問うことはできないとした。