後腹膜腫瘍及び神経鞘腫の疑いで摘出手術,左大腿神経を損傷するなどした事例
後腹膜腫瘍及び神経鞘腫の疑いで摘出手術を受けた患者が,左大腿神経を損傷するなどした事例
高松地裁 平成28年5月18日判決
事件番号 平成24年(ワ)第165号
本件は,後腹膜腫瘍及び神経鞘腫の疑いがあると診断され,その摘出手術を受けたところ,左大腿神経を損傷するなどした患者が,担当医には,術前・術中・術後の判断等に過失があり,また,説明義務違反もあったと主張して,病院に対し損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,医師には,本件手術によって大腿神経麻痺による運動障害が生じる危険性があることについて説明義務違反があり,患者は,本件手術を受けるか,本件手術を受けずに保存的に経過を見るかという選択をするに当たって,十分な説明を受けることができず,その人格権(自己決定権)を侵害され,精神的苦痛を受けたものといえるから,その侵害による慰謝料請求は認められるべきであるとして請求を一部認容した。