肺水腫及び悪性リンパ腫に対する治療,医師がプリドールの点滴を指示したが看護師が誤投与した事例
肺水腫及び悪性リンパ腫に対する治療として,医師がプリドールの点滴を指示したが,看護師がプロビトールを誤投与した事例
東京地裁 平成27年8月6日判決
事件番号 平成26年(ワ)第22042号
本件は,医師が,肺水腫及び悪性リンパ腫に対する治療として,プリドール500mgを生理食塩液100mlで希釈して患者に点滴することを看護師に指示したにもかかわらず,同看護師が誤ってプロビトール500mgを生理食塩液100mlで希釈して患者に点滴したことにつき,死亡した患者の夫である原告が,①アナフィラキシーショックを起こす危険性のあるプロビトールを添付文書の使用用法に違反して投与したことが注意義務違反に当たるなどと主張するとともに,②その後,上記看護師が上記医師の指示の下,改めてプリドール500mgを生理食塩液100mlで希釈して患者に点滴したが,その際,上記医師等が同薬の副作用等について説明をしなかったことが説明義務違反に当たるなどと主張して,病院に対し,不法行為又は使用者責任に基づく損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,看護師の本件誤投与に係る注意義務違反が認められるものの,注意義務違反行為と各症状との間の相当因果関係は認められないとし,患者の死亡に至る症状等につき,医師の注意義務違反が影響しているとする原告の主張は採用できないとして,これを棄却した。