救急搬送され入院後,脳梗塞が発見され遷延性意識障害を発症したのは,適切な治療を行わなかったことが原因であるなどとして損害賠償を求めた事例
救急搬送され入院後,脳梗塞が発見され遷延性意識障害を発症したのは,適切な治療を行わなかったことが原因であるなどとして損害賠償を求めた事例
東京地裁 平成27年7月1日判決
事件番号 平成26年(ワ)第25711号
本件は,被告病院に救急搬送され,うっ血による重症の急性心不全と診断されて入院した後,脳梗塞が発見され遷延性意識障害を発症するに至った患者の夫である原告が,患者が遷延性意識障害を発症したのは,被告病院の医師が脳梗塞やその発症予防のための適切な治療を行わなかったことが原因であるなどと主張して,不法行為に基づき損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,被告病院の医師が,急性心不全と診断された患者に対し,ヘパリンナトリウムの持続点滴を行ったことは,適切な処置であったと認められ,脳梗塞を予防するために心臓カテーテル治療及び左心耳縫縮術が行われるべきであったことを基礎付ける証拠はないとし,入院時において患者が脳梗塞を発症していたと診断することはできず,具体的に脳梗塞の発症が予測される状況でもなかったとして,原告の請求は棄却された。