医師が大腸癌の確定診断をしたかのような説明をしたことにより,精神的損害等が生じたとして損害賠償を求めた事例
医師が大腸癌の確定診断をしたかのような説明をしたことにより,精神的損害等が生じたとして損害賠償を求めた事例
札幌地裁 平成26年11月12日判決
事件番号 平成26年(ワ)第605号
本件は,被告法人の開設する病院において診察を受けたところ,被告医師が大腸癌の確定診断をしたかのような説明をしたことにより,原告は,入院費用相当額の損害及び精神的損害が生じたとして,被告医師に対しては不法行為に基づいて,被告法人に対しては使用者責任ないし債務不履行に基づいて,損害賠償を求めた事案である。
裁判所は,被告医師が,原告の腹部触診の結果と腹部CT検査の所見から,大腸癌の可能性が高いと考えたことは,医療水準に適合しない不合理な判断とはいえないし,大腸癌の確定診断をしたとの誤解を与える説明をしたとまではいえないとし,被告医師が行った説明は,その妥当性には疑義が残るものの社会的相当性を欠く違法なものとまではいうことはできず,不法行為を構成するものとはいえないとして,原告の請求を棄却した。