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術後にビタミンB1を投与せず、ウェルニッケ脳症が発症して後遺障害が生じたなどと主張、損害賠償を求めた事例

術後にビタミンB1を投与しなかったためにウェルニッケ脳症が発症して後遺障害が生じたなどと主張して損害賠償を求めた事例

名古屋地裁 平成28年7月15日判決
事件番号 平成25年(ワ)第5593号

 平成21年2月24日にY大学病院で食道がんと診断された男性は、手術を予定したが、血糖コントロールが悪かったため延期となり、A医師は7月18日、患者に対して、再度、食道がんの症状、手術の内容等について説明したところ同意したので、22日に手術を実施した。23日から、Y大学病院の医師は患者に対して輸液を開始したが、輸液にビタミンB1は含まれていなかった。30日、患者に縫合不全を疑い、絶食とし、8月20日の昼食から経口摂取を開始したが、その後、患者に運動失調、眼球運動障害などの症状が出現、Y大学病院の医師は28日、難聴、追視困難、見当識障害などの臨床症状ならびにCT及びMRIの画像所見から、ウェルニッケ脳症の疑いと判断し、ビタミンB1の大量投与を指示、血液検査により判明したビタミンB1の血中濃度(8ng/mL)を踏まえ、最終的にウェルニッケ脳症と診断した。患者は10月17日に退院したが、平成22年2月1日、Y大学病院神経内科を受診し、B医師の診察を受けたところ、緩徐進行性の小脳失調症状が認められるとして、入院を指示、B医師は平成23年8月8日、脊髄小脳変性症が原因で、患者には運動麻痺と著しい四肢体感失調が認められ、構音障害と嚥下障害を合併しており、傷病については症状が固定し、改善の見込みはないと診断した。
 このため原告(本人)は、Y大学病院の医師には手術後にビタミンB1を含む輸液を投与しなかった過失があり、その結果、後遺障害が残ったと主張して、損害賠償金の支払いを求めた。
 裁判所は、10月17日までの症状とそれ以降の症状等には連続性が認められ、ビタミンB1不投与と患者の症状には因果関係があり、患者本人の素因や手術の合併症としてビタミンB1欠乏症が生じたとはいえないとして、逸失利益等損害額を認容し、Y大学に総額1億2,085万5,777円を支払うよう命じた。

 



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